第1回夏休みアトリエ読書大賞総評

平成24年10月10日

河村国語作文塾&学びのアトリエ
河村 勝之

このたびは、第1回夏休みアトリエ読書大賞に塾生6名の方が力作を寄せてくださいました。
本当にありがとうございました。

葛西講師と熟慮検討し、議論を重ねました。その結果、以下の通り決定いたしました。

  • 最優秀賞:該当者なし
  • 優秀賞:該当者なし
  • 佳作:全員

今回の選考は大賞の応募要項でお示ししましたように、

  1. 本の内容・面白さと素晴らしさについて触れているか。そして、それが生き生きと表現されているか。(20点×2)
  2. その本を読む事を通して、自分なりに考えた事、感じた事が、自分自身の言葉で綴られているか。(20点×2)
  3. 作文の形式やルールが守られているか。言葉遣いや漢字の間違い、誤字・脱字がないか。(20点)

の計100点で採点し、最優秀賞は90点以上、優秀賞は75点以上とさせていただきました。力作ぞろいでしたが、すべての作品が50点代後半から70点までの間にとどまりました。

今回のこの6作について全般として言えることは、枚数が3枚程度(1200字)に制限したためめか、自分の感想を自由に表現して述べるという上記の[2]の「自分なりに考えた事、感じた事を自分自身の言葉で語っているか」の点が弱かったと思います。もっともっと自分の想像の翼を広げて、自由に語ってほしかったです。

きちんとした読解を心がけておられた事は決して間違いではありません。でも、その上にもっともっと一人一人の個性の花を咲かせていただきたいと思いました。従って次回より、『学びのアトリエ自由読書大賞』と改名し、感想文の枚数を3枚(1200字)~5枚(2000字)と幅を拡げる事にしました。

第2回は次の冬休みに開催します。詳しくは「1月にむけての挨拶文」(12月10日発送予定)に同封させていただきます。よろしくお願いします。

最後になりましたが、今回の応募作の題名と簡単なコメントを述べておきます。

1.高校1年生A君『老人と海』(ヘミングウェイ著:新潮文庫)

□感想文の文体が凝っていて、とてもステキでした。最後の結論の部分でのA君の考えがもっと詳しく述べられていたら、さらに中身の濃い感想文になったことでしょう。次回作に期待しています。

2.中学2年生B君『泥の河』(宮本輝著:新潮文庫)

□時代の流れとつなげての読みは鋭く、考えさせられました。宮本輝のこの本を中学2年生でここまで読み込んだことに敬意を表したいと思います。やはりA君同様、最後の結論が少し散漫になってしまったのが惜しかったです。次回は入賞をねらって下さい。

3.中学2年生C君『タイム・ラッシュ』(神永学著:新潮文庫)

□すごく楽しい小説の感想文を送ってくれました。文章も上手にまとめていました。あえて注文をつけると、彼にはもっと本格的な文学を読んでもらって、次回も挑戦していただきたいと思います。

4.中学2年生D君『二年間の休暇(旧 十五少年漂流記)上・下』

□主人公の二人の少年の友情に至るプロセスを、細かく地形なども含めておさえようとした理系的視点はなかなか斬新でした。ただ、それが「友情」というこの感想文のテーマにいま一歩つながっていなかったのが残念でした。冬も是非、挑戦してみてください。

5.小学6年生Eさん『コロボックル物語1~5』(さとうさとる著:講談社文庫)

□この大著にひるむことなく挑戦したその志は素晴らしいと思いました。そしてこの本をできるだけたくさんの人に読んで欲しいという熱意にも感銘を受けました。もう一回書き直せば、まちがいなくもっと良くなりますね。次回に期待しています。

6. 小学5年生Fさん『西の魔女が死んだ』(梨木香歩著:新潮文庫)

□「アイ・ノウ」というキーワードを中心に見事にまとめてくれました。この素敵な物語の作家である梨木香歩さんを教えてもらった事をFさんに感謝します。まだまだ良くなる可能性を秘めている人なので、次回の作品がとても楽しみです。

以上、6名の塾生の人たちの感想文は、私にとっては上手とか下手とかでなく、第1回のアトリエ大賞に応募していただいた事で、まさに宝物のような存在となりました。

なお、ご本人たちには、記念すべき第1回の応募者ということで、私からお手紙の形で感想文の詳しい講評をお送りしました。是非2回目のアトリエの自由読書大賞にも上記の6名の生徒さん達に加え、他の塾生の方々にも挑戦していただきたいと思います。

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