アトリエトーク

映画の館『スポポン館』 第39回

平成28年7月

館主 平 均(たいら ひとし) <ペンネーム>

20年ぶりに奴らがやって来ます。より巨大で強力になって。人類は再度彼らを倒し、地球を守ることが出来るのか?何の話かって?そうです。今盛んに宣伝されている映画『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』の話です。前作『インデペンデンス・デイ』が公開されたのが1996年。そして続編が公開されるのが今年2016年。映画のストーリー上も20年後の世界ということで現実と虚構の年代がぴったんこ。前作に出演した俳優が同名役で続投しており、懐かしさも覚えます。絶対大スクリーンの劇場で観るぞ!

今回はもうすぐ夏休みなので、海や山のバケーション映画を紹介しようかと考えたのですが、侵略宇宙人から地球を守ることが大事だと思い、地球を大々的に襲って来る宇宙人映画を特集します。

先ずはやはり『インデペンデンス・デイ』(Independence Day 1996 アメリカ)から。20年前の作品なので、学生の皆さんは映画館で観たことはないと思いますが、とにかく、スクリーンいっぱいに広がる宇宙船のデカさに圧倒されました。ある朝突然、雲のように街に覆いかぶさる宇宙船が現れるのですから驚きです。そんな宇宙船が全世界に現れ、そこから無数の戦闘機が飛び出して攻撃して来るのですからたまりません。ホワイトハウスなどの有名な建築物がド派手に破壊されて拍手喝采。いや、人類は手を携えて対抗するしかない、ということで、最後はアメリカ大統領自らも戦闘機に乗って宇宙人と戦います。ほんまかいなと思いながらも、いつのまにか応援していました。緊張感溢れる破壊シーンの合間にユーモラスなシーンも挟んでいて大いに楽しめる作品です。宇宙人が単体では割と弱っちぃのもご愛嬌。

監督のローランド・エメリッヒは本作の後も『デイ・アフター・トゥモロー』『2012』など、ディザスター・パニック大作を連打している地球破壊王で、勿論、今度の続編も監督しております。予告編を見る限りでは、地球が凄いことになっていますね。

大々的に地球侵略にやって来た宇宙人映画と言えば『宇宙戦争』(War Of The Worlds 2005 アメリカ)があります。元々はH・G・ウェルズのSF小説。そして、オーソン・ウェルズがラジオ・ドラマ化。その放送を聴いた一部の人たちが、本当に宇宙人が襲来したと勘違いしてパニックになったそうです。この顛末は『アメリカが震撼した夜』というTV映画にもなっています。そして50年代に一度映画化され、非常に素晴らしいSF映画の古典となっています。今回はスティーブン・スピルバーグ監督の残酷趣味がはじけ、逃げ惑うだけのトム・クルーズ、泣き叫ぶだけのダコタ・ファニングちゃん、あぶない目をしたティム・ロビンズが楽しめるリメイク版をお楽しみ下さい。

おっと、つまらない作品だと誤解しないで下さい。開巻早々、地中に潜んでいた宇宙人の攻撃ロボットが地面を破って人間を襲い出すショッキング・シーンから怒涛のパニック・サスペンス映画となります。ハラハラさせる演出は『激突!』『ジョーズ』以来のスピルバーグ監督の真骨頂であります。

宇宙人との戦いを戦争映画のように描いたのが『世界侵略:ロサンゼルス決戦』(Battle : Los Angeles 2011 アメリカ)です。各国の大都市が宇宙人の攻撃で次々と陥落して行く中、ロサンゼルスが人類の命運を分ける最終決戦の地となります。ここで、迫力ある緊迫したぎりぎりの戦いが展開されます。

宇宙船や戦闘機での戦いはありますが、本作は地上での戦闘、とりわけ人間と宇宙人の兵士同士の戦闘シーンが多いのが特徴です。宇宙人も人間に近い形をしていますので、異星のものと戦っているというより、どこかのあぶない国が攻めて来たかのようです。主演のアーロン・エッカートは後に『エンド・オブ・ホワイトハウス』で、かの国に監禁され人質になるアメリカ大統領を演じていますしね。

地上戦があれば海上での戦いあり、ということで『バトルシップ』(Battleship 2012 アメリカ)の登場です。海中で地球征服を企んでいた宇宙人が海上に姿を現し、日米合同艦隊と激突するお話で、ド派手な戦闘シーンの連続です。宇宙人の戦艦に搭載されている巨大な手裏剣やコマのような兵器類が破壊力抜群で、そのパワーに圧倒されます。

人間側の新型戦艦が次々と破壊されていく中、老水兵たちが乗った第二次世界大戦時のポンコツ戦艦で最後の決戦に臨む展開に涙します。皆さんにはまだ分からないかもしれませんが、歳を取って来るときっと分かるようになるでしょう。何でも新しいものがいいとは限りませんよ。浅野忠信が海上自衛官役でいい役を演じていることも付け加えておきましょう。

最後はオール・スター・キャストでコメディ・タッチの火星人襲来もの『マーズ・アタック!』(Mars Attacks ! 1996 アメリカ)です。大まかなストーリーは『宇宙戦争』なのですが、監督が異才ティム・バートンだけに、普通の展開には収まりません。残酷だけどブラック・ユーモアたっぷりの首ちょんぱシーンや、人間のエゴがもたらすシニカルなお笑いシーンなど、ダークで悪乗りティム・バートン・ワールド全開です。

『宇宙戦争』同様、最後はあっけなく人類が勝利するのですが、その決め手がふざけていて脱力するほどケッサク、拍手喝采です。愛は地球を救うのだ。

さてさていろいろな凶悪宇宙人が地球を攻撃して来る映画を観て来ました。これらの作品はハラハラドキドキを楽しむ荒唐無稽な映画ではありますが、現在の我々は、いつ攻めて来るか分からない宇宙人に地球防衛軍として対抗する手段を考えるより、先ずは地球上の人類同士が戦争や紛争を起こさないようにすることが必要だと思うのです。

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