アトリエトーク

映画の館『スポポン館』 第37回

平成28年4月

館主 平 均(たいら ひとし) <ペンネーム>

4月になり、いよいよ本格的に春がやって来ましたね。学生の皆さんも次の学年に進級する人、新しい学校へ進学する人など、フレッシュな気分で春を迎えているのではないかと思います。中には、新しい環境に不安を感じ、楽しくないなぁと思っている人もいるかもしれません。でも、徐々に慣れてきて楽しいこともあるはずですので、前を向いて進みましょう。

皆さんは「午前十時の映画祭」という企画をご存知でしょうか。なかなか劇場では観る機会がない旧作映画を年間通してドーンと上映しましょうという素晴らしい企画です。今年で7年目になるそうですが、基本的には1本の映画を1週間から2週間、午前10時の1回のみ上映します。鑑賞料金は大人が1,000円、学生はなんと500円。ラーメン一杯我慢すれば名作が観られます。

4月からスタートする今年度は洋邦合わせて29本の作品が上映されます。恋愛ものあり、音楽ものあり、SFものあり、アクションものありと様々なジャンルから選択された名作揃いです。全部観て欲しい映画ばかりです。ただ残念なのは北海道で上映する劇場が札幌シネマフロンティアのみなのです。より多くの劇場で上映されるようになることを願います。それから、10時以外にも上映して欲しいですね。平日も皆が観に行けるように。

それでは今年度の29本の名作から公開順に前半の15本をざっと紹介しましょう。

(1)ティファニーで朝食を(1961アメリカ)

ご存知、オードリー・ヘプバーンの代表作。キュートなロマンティック・コメディで、ヘプバーンがギターを弾きながら歌うヘンリー・マンシーニの「ムーンリバー」もいいムードです。デートにもぴったり。

(2)恋におちて(1984アメリカ)

ロバート・デ・ニーロとメリル・ストリープの今は何かとお騒がせの不倫のお話だけど、思慮深い大人の恋を描いた、まさに大人の映画です。夫婦で観るとビミョーかも。

(3)追憶(1973アメリカ)

二枚目ロバート・レッドフォードと歌手でもあるバーブラ・ストライサンドによる長年におよぶ恋愛もの。世情も絡み、甘いだけではなく苦味もあります。ストライサンドが歌う主題歌は名曲です。

(4)旅情(1955イギリス)

オールドミスのベネツィアでのひと夏の恋。若者ではないけれど、それ故にときめきと別れの予感で胸キュンになる映画です。ラスト・シーンはあまりにも有名で、切ないけれど喜びに溢れています。

(5)マイ・フェア・レディ(1964アメリカ)

オードリー主演のミュージカル。貧乏でガラの悪い女から貴婦人のような女性へと教育され大変身するストーリーで、艶やかでとても豪華な作品です。聴き馴染みのミュージカル・ナンバーがあると思います。

(6)ロシュフォールの恋人たち(1967フランス)

いかにもフランスの可愛いミュージカルで、ミシェル・ルグランの弾む音楽が素敵です。あまりにも楽しくてこちらも踊り出しそうです。主演はカトリーヌ・ドヌーブとフランソワーズ・ドルレアックの美人姉妹。

(7)ハリーとトント(1974アメリカ)

頑固じいさんと猫との二人(?)のロードムービー。人間より猫の方が信用できるわい。ペーソスもありですが、変にセンチメンタルになることはなく、どこか乾いたタッチのユーモアがいい感じです。

(8)午後の遺言状(1995日本)

杉村春子と音羽信子のベテラン老女優共演で、緑鮮やかで豊かな自然に囲まれた別荘地を背景に綴られるドラマです。人間を鋭く見つめる作品を作り続けた新藤兼人監督の秀作です。

(9)アマデウス(1984アメリカ)

かの有名なアマデウスはこんな奴だったのかいな、と思わず笑っちゃう音楽映画です。とにかく下品でやんちゃ坊主みたいな男だけど音楽に関しては天才。彼の名曲も大音響でたっぷり聴けます。

(10)ドクトル・ジバゴ(1965アメリカ・イタリア)

軍医と看護婦による、これまた不倫を題材にした恋愛物語。戦争を背景にしたスケールの大きい作品で、モーリス・ジャールの音楽が効果大です。「ララのテーマ」は皆さんも聴いていると思います。

(11)バック・トゥ・ザ・フューチャー(1985アメリカ)

この映画は皆さんよく知っていますよね。言わずもがなの傑作SFコメディ。USJのアトラクションにもあるデロリアンに乗って両親の高校時代へGO!

(12)バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2(1989アメリカ)

2作目は自分の息子が高校生になっている未来へGO!スピルバーグの息子が『ジョーズ』の10何作目かを撮っているなどの小ネタも可笑しいです。

(13)バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3(1990アメリカ)

今度はなんと西部開拓時代へ逆戻り。とにかく西部劇ファンは泣いて喜び、馴染みのない人も西部劇好きになるかも。シリーズ三作続けて劇場で観られる幸せを味わってください。

(14)ポセイドン・アドベンチャー(1972アメリカ)

地震による大津波で豪華客船がひっくり返って天と地が真っ逆さま。そこから閉じ込められた人々は脱出できるのかというパニック映画。派手なシーンだけではなく、人間の素晴らしさを描いた感動ものでもあります。

(15)ゲッタウェイ(1972アメリカ)

サム・ペキンパー監督、スティーブ・マックィーン主演という、アクション映画好きにはたまらない組み合わせによるクライム・アクションもの。これぞまさにクール!タランティーノ監督にも見習って欲しいです。

以上全て観て損は無しの名作ばかりです。苦手だなと思い観る気が起こらないジャンルの映画であっても、騙されたと思ってまずは劇場で観て下さい。おや、意外といいじゃない、という具合に、そのジャンルに対する偏見がなくなるに違いありません。

私もビデオ等でしか観たことがないものもあり、劇場で観られるチャンスがやって来て喜んでいます。大勢の人が映画館に詰めかければ、更に多くの旧作が上映されるはずですので、皆で観に行きましょう。おっと、私はシネマフロンティアの回し者ではないことだけ付け加えておきましょう。

コラム一覧へ戻る

▲ページ上部へ戻る