アトリエトーク

映画の館『スポポン館』 第26回

平成27年1月17日

館主 平 均(たいら ひとし) <ペンネーム>

新しい年になりました。皆様、今年もよろしくお願いいたします。昨年2014年は映画館で何本の作品を観られましたか?私は邦画が26本でした。そこで今回はそれらの作品についての感想を一気に書いていきます。順序は観た順です。洋画は次回のお楽しみ。

(1) 清州会議
三谷幸喜作品らしく数多くの有名スター競演のお笑い時代劇。だけど、爆笑の連続とはならず少し消化不良。我らが大泉洋ちゃんも出ているが、鈴木京香が怖くて場面をさらう。女は怖いよ。

(2) 永遠の0
ある特攻隊員の物語を孫たちが紐解いていくという最近ではオーソドックスな手法ながら、激しい空中戦シーン等を交えて時代に翻弄される人物を興味深く描いている。日本人には皆観てもらいたいと思わせる映画。

(3) ハロー!純一
草食系男子の見本のような小学生の純一君を中心として描かれるキッズ・ムービー。ロック・バンドを作るという他愛ない内容なれど、ラストは見事にこちらを元気にさせてくれる。公開時はなんと、小学生は入場無料だった。太っ腹!

(4) 抱きしめたい
テレビで放映された北海道が舞台のドキュメンタリーの劇映画化。いわゆる難病もので、筋力が失われていく主人公を北川景子が熱演するも、劇映画としては感動の盛り上げに欠ける出来。

(5) パズル
邪悪な力を持った謎の男子高校生とその力に引き寄せられた女子高生が巻き起こす恐怖。らしいが、訳が分からない部分が多くて付いて行けず。親の方が怪しい人物が多くて、こちらの方が怖い。

(6) 銀の匙
都会のもやしっ子が農業高校で奮闘する、観ると元気になる映画。以前に紹介済み。

(7) 白ゆき姫殺人事件
現代情報化社会の恐ろしい一面を緊迫感溢れる演出で描写した映画。以前に紹介済み。

(8) 仁義なき戦い
漸く観ることが出来た実録路線ヤクザ映画の傑作。イキがよくギラギラしていて弾けている。ヤクザ映画を敬遠している人も、観ればその面白さに引き込まれること請け合い。菅原文太が亡くなったなあ。合掌。

(9) WOOD JOB!
林業実習生の奮闘物語。大笑いした後、成長した姿に感動。以前に紹介済み。

(10) テルマエ・ロマエⅡ
変にシリアスになった前作から大いに吹っ切れてナンセンス・コメディに徹したところが大変よろしい。設定からしてふざけているんだから。それにしても濃い顔の役者が多く出て来て、ローマを舞台にしても違和感無し。

(11) MONSTERZ
人を操ることが出来る悪い男とただ一人彼の力が及ばない男との対決。悪い奴の超能力の影響範囲・時間がよく分からないので、だんだんとハラハラドキドキ感が無くなって来た。

(12) オー!ファーザー
伊坂幸太郎のユーモア・ミステリーが原作で、クライマックスでは拉致監禁された高校生の息子を父親たちが救出するのだが、あまりにもご都合主義の展開になってしまい興醒め。偶然を利用し過ぎ。

(13) 超高速!参勤交代
参勤交代を成し遂げようとする弱小藩と幕府の悪い奴らとの攻防が、コミカルかつシリアスに小気味よいタッチで展開。観た後、非常にいい気分になる楽しい時代劇。西村雅彦の久々のコメディアンぶりが大いに笑わせてくれる。

(14) 渇き。
“私の娘は、バケモノでした”この惹句通り、高校生の娘の化けの皮がはがされていく過程が怖い。また登場人物の心が皆歪んでいるのも恐ろしい。ポップな演出だけれど、いやーな描写もあるので覚悟して観よう。

(15) もういちど
江戸時代、妻子を火事で亡くして心が抜け落ち落語家になる夢を諦めた男が、同じ長屋の人々に支えられてもう一度やる気を起こすという物語。いかにも人情小噺で好感が持てるが、男に貫録・落着きがあり過ぎ。

(16) イン・ザ・ヒーロー
着ぐるみ俳優の心意気ここにあり!着ぐるみ俳優たちの日常を面白おかしく、時に切なく、そして愛おしさを込めて描いたバック・ステージものの秀作。クライマックスの忍者の大殺陣には感動。唐沢寿明に拍手。

(17) 柘榴坂の仇討
“桜田門外の変”で主君を守れなかった付き人が仇討を命ぜられて遂に最後の一人と対決する。しかし、何年も経てば赦しの心が芽生えて来る。その時の感情だけで動いてはいけないということか。

(18) マザー
恐怖漫画の巨匠、楳図かずおが初監督したホラー映画。自分を主人公にしているところが虚実入り混じっていて興味深い。真行寺君枝が彼の母親役を怪演!怖い。次回は「漂流教室」の完全映画化を願う。

(19) 零~ゼロ~
全寮制女子学園を舞台にした耽美ホラー。どこかヨーロッパ的な雰囲気を漂わせ、『サスペリア』の世界にも通じるものを感じさせる。ただこちらは残酷描写ではなく、あくまでも神秘ムードで貫き通す。

(20) 舞妓はレディ
『マイ・フェア・レディ』の舞妓版。周防正行監督なのでもっとコミカルな部分を期待していたんだが。歌のシーンもリズムに乗れず。題材は面白いのだが、『舞妓Haaaan!!!』が先にやってるのでね。

(21) 25 NIJYU-GO
懐かしきVシネマの世界が戻って来た!一時期大量生産された日本のクライム・アクションの一翼を担ったビデオ専用映画。そこでスターとなった相川翔を始め、Vシネマゆかりの面々が登場して嬉しくなる。ガン・プレイでドンパチやってノリノリ。

(22) 小野寺の弟・小野寺の姉
片桐はいりと向井理が姉弟役なんて。と思っていたら、ユーモラスで実にいいほんわかムード。だんだん本当の姉弟に見えてきた。二人揃っての失恋は悲しいけれど、姉弟愛にはこちらがホロリとなってしまった。

(23) 神さまの言うとおり
“ダルマさんが殺した!”と突然異世界に放り込まれてもなあ。それぞれの殺人ゲームは面白いのだけれど、展開があまりにも唐突過ぎて感情が付いて行けない。他人がやってるゲームを見ている感覚だね。

(24) 紙の月
銀行の契約社員になった主婦が堕ちて行く横領の悪循環地獄。主婦の解放を謳ったようなラストはちょいと気に掛かるが、緊張感溢れた確かな演出でグイグイ映画に引き込まれる。宮沢りえはいい役者になったもんだ。

(25) 寄生獣
人類が謎の生物に侵略されるSF映画の前篇。原作漫画は読んでいないが、実に面白い。身体が乗っ取られて頭がパカッと開いて...。ビジュアル・ショック抜群!ストーリー展開も興味津々。後篇が非常に楽しみ。

(26) 超能力研究部の3人
どこまでがフィクションでどこからがドキュメントなのか?乃木坂46のメンバー3人主演のSFタッチ青春映画のメイキング・ムービー。でもでも、エンド・クレジットよーく見ていると...。ウーン、まんまとやられた!

それでは、今年もどんどん映画を観ましょう!

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