アトリエトーク

映画の館『スポポン館』 第20回

平成26年5月17日

館主 平 均(たいら ひとし) <ペンネーム>

『アメイジング・スパイダーマン2』や『テルマエ・ロマエII』など、最近も続篇映画が多いですね。前作での人気キャラクターが主役となるわけですから、製作側はある程度の観客動員は見込めるし、観客側はどんな雰囲気の映画かある程度は予想出来て安心して観に行けるという利点はあります。しかし、1作目はあんなに面白かったのに、続篇を観てガッカリという経験も多いのではないでしょうか。

私の場合、『呪怨2』『ディセント2』『REC/レック2』などがそれに当たります。(←なんや、ホラー映画ばっかりやないか)
1作目はストーリー展開が読めず、どうなるどうなるという緊張感があるのですが、二作目となると、特にホラー映画で多いのですが、恐怖の対象(キャラクター)に慣れて親しみを感じてしまうようになり、緊張感が薄らいでしまうんですね。『リング』シリーズの"貞子さん"や『呪怨』シリーズの"俊雄君"などがそうで、他の映画やテレビでもパロディにされていますよね。

それから、最初は得体の知れないものが続篇でその謎が明かされていき(←結構、つまらん理由が多いよな)、あまりにも理路整然とし過ぎて面白みを失ってしまうことも多いです。『REC/レック2』なんかがそうですね。(←人がゾンビ化する原因がエッ!?という理由やったな)

キャラクターを上手く利用しつつ、前作とは少し作風が違った続篇に成功作が多いと思います。その代表例が『エイリアン2』(Aliens 1986 アメリカ)です。前作『エイリアン』はSFホラー映画の金字塔ともいうべき作品で、北海道の皆さんにはあまり馴染みのないゴキブリが部屋の中でガサゴソ動き回っているようなイヤ~な感触を持った傑作です。1匹の凶悪エイリアンが宇宙船内のどこに隠れているのか、どういう変態をするのかが分からず、とにかく緊張しっ放しでした。

ところがその続篇『エイリアン2』は、前と同じことをやってもアカンとばかりに、1作目では1匹しか出て来なかったエイリアンがうじゃうじゃ出て来て宇宙海兵隊とバトルを繰り広げるという展開になりました。凶悪なエイリアンのキャラクターを継承しつつ、作風をアクション映画にしたのは大正解だったと思います。エイリアンとの闘いに燃えます。未見の方は是非ご覧ください。1作目と2作目を続けて観ると、その作風の違いがよく分かって面白いと思います。とにかく、どちらも傑作です。

監督のジェームズ・キャメロンは『ターミネーター』シリーズの1・2作目を撮っていますが、これも皆さんご存知のように作風は違っているけれども抜群に面白い両作品ですよね。

 

次は『M:I-2』(Mission Impossible 2 2000 アメリカ)です。『ミッション:インポッシブル』シリーズは全ての作品がよく出来ており、甲乙付け難い傑作シリーズものですね。中でもこの2作目は、主演のトム・クルーズの俺様映画であると同時に監督のジョン・ウー節が炸裂しているという奇跡の作品でもあります。1作目はテレビ『スパイ大作戦』を現代に甦らせた作品で、トム君以外にもスパイ組織の面々が登場してスパイ合戦が繰り広げられるサスペンス主体の映画でした。(監督が現代サスペンスの巨匠、ブライアン・デ・パルマやからな)

ところがこの2作目はトム君の単独行動で話が展開していき、おまけにラブ・ロマンスの要素もあったりして、他作品の集団行動的スパイ映画とは趣が違っています。アクション・シーンの多くもトム君が演じており、まさに硬軟織り交ぜたトム君の魅力が堪能できる作品となっています。

それに加え、監督のジョン・ウーが香港時代に確立した自分スタイルの映像表現をこの作品でも大いに炸裂させ、まさにジョン・ウー映画ともなっているのです。2丁拳銃、鳩などのお馴染みのアイテムからスローモーションなどの撮影テクニックなど、彼の映画を観て来たファンにとっては嬉しくて涙がちょちょ切れるアクション・シーンのつるべ打ちです。この映画で初めて彼の作品を観る方はきっと他の作品も観たくなること請け合いで、特に香港時代の『男たちの挽歌』『男たちの挽歌Ⅱ』『狼』『ワイルド・ブリット』がおすすめですよ。

アクション映画ついでに最後に『フレンチ・コネクション2』(French Connection Ⅱ 1975 アメリカ)をどうぞ。1作目『フレンチ・コネクション』は"ポパイ"と呼ばれる型破り刑事が麻薬組織を捜査していく過程をドキュメンタリー・タッチで描いたクライム・アクションの傑作です。特に、犯人を追っての高架下でのカー・チェイスが有名ですよね。

その続篇では、結局前作では捕まえ切れなかった麻薬組織のボスを追って単身フランスへ"ポパイ"が殴り込みに行くという展開になります。土地勘も無く、言葉も上手くつながらない異国での捜査であり、犯人追っかけも車ではなく、ただひたすら走り続けることになります。作風も監督のジョン・フランケンハイマーらしく堂々たるアクション演出と、全く前作とは違いますがこれまたいいのですよ。主人公"ポパイ"のキャラクターは同じでブレは無し。これも1・2作続けて観ると面白いでしょう。

今回は1作目とは作風の違うシリーズものの2作目を上映しました。今後も映画界は続篇ものが多く出て来ると思いますが、1作目に勝るとも劣らない作品の登場を期待したいものです。好きなキャラクターの活躍はいつまでも観たいですからね。

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