アトリエトーク

映画の館『スポポン館』 第15回

平成25年12月25日

館主 平 均(たいら ひとし) <ペンネーム>

いよいよ今年もあと一月を切ってしまいました。早いものですね。特に受験生の皆さんはこれからが最後の追い込みだと思いますので、体調管理には十分注意して冬を乗り切っていきましょう。

勉強ばかりではやはり疲れてしまいますので、たまには映画を観てリフレッシュしましょう。今回は気分転換にはうってつけのスポーツ(団体ものです。今はやりの“集団行動”ではありません)を扱った映画を上映します。(←あんたの気分転換はホラー映画やろ。“弘法も木から落ちる”~慣れないことして大怪我する~にならんようにな)

先発は少年野球を題材にしたコメディ映画『がんばれ!ベアーズ』(The Bad News Bears 1976 アメリカ)です。

チームは寄せ集めばかりの下手くそ揃いで、満足にボールを捕れない子もいるは、三振ばかりしている子もいるはで、皆の気持ちもバラバラな状態。また、コーチは飲んだくれのやる気無しのおやじで、当然ながらリトル・リーグの万年最下位チーム。本人たちも、仕方ないよなあ、といつも諦めの境地でした。

しかしそこに、コントロール抜群の剛速球ピッチャーで、もしかしたらコーチの娘かもしれないという女の子と、不良だけど打撃も守備も抜群の少年が入団したことで何とか1勝することが出来、チームの雰囲気が変わり始めます。そして皆が徐々に野球が上手くなっていき、チーム・ワークも育っていくのです。

下手くそ野球でさんざん笑わせておいて、今まで試合でボールを捕れなかった子が初めてキャッチするシーンなんてほんと感動的です。観た後爽やかな気分になること間違い無しの作品です。

この作品後、アイス・ホッケーを扱った『飛べないアヒル」に始まる“マイティ・ダック”シリーズなど、このパターンの映画が作られています。

次はアメリカン・フットボールを扱った痛快な『ロンゲスト・ヤード』(The Longest Yard 1974 アメリカ)です。アメフトと言ってもスーパーボウルとかではなく、なんと刑務所内でのお話です。

アメフト大好きな刑務所の所長が作った看守チームと、ちょっとした事件を起こして刑務所に入れられた元プロのアメフト選手が率いる囚人チームとの激突が、面白おかしくダイナミックに描かれます。

囚人チームはチーム作りの段階でいろいろな派閥があってなかなかまとまらないのですが、看守に対する不満や恨みを試合でうっぷん晴らししようと一致団結していきます。

大っぴらに看守をぶちのめせるんですから、そりゃやる気も湧いてきます。試合で看守チームが劣勢に立たされた時、所長が元アメフト選手を裏に呼んで、負けないと一生刑務所から出られないようにしてやると脅すんですね。ほんまにやらしい奴。はたして元アメフト選手が取った行動やいかに。

刑務所が舞台なのでむさ苦しい男がぞろぞろ出て来ますが、観終わった後はスッキリ爽やか。元アメフト選手と看守長の男気にホロリです。

スポーツを野球に変えた日本の『ダイナマイトどんどん』、サッカーに変えたイギリスの『ミーン・マシーン』などの後続作品を生んでいます。本作品も2005年にリメイクされています。

3本目は日本での有名な駅伝=箱根駅伝を扱った映画『風が強く吹いている』(2009 日本)。高校まではそれなりに陸上で活躍していたものの、大学に入ってぐうたら生活をしているうちに駅伝への情熱が冷めてしまった連中が住んでいる大学寮に新入生が入って来て化学反応が起こるわけです。昔は活躍していた連中ばかりなので、一度火が点いて本気モードになるとそれなりに頑張っちゃいます。そしてついに箱根駅伝の切符を手にし、出場することになります。レース・シーンは皆の息遣いが伝わり臨場感いっぱいです。

また、トレーニングやレースばかりが描かれるわけではなく、それぞれの学生たちの悩みや家庭事情などが、ある時はユーモラスに、ある時はシリアスに描かれ、彼らを応援せずにはいられなくなります。マラソンとは少し違い、皆で助け合いながらトップを目指していく姿を見ていると、ほんとに羨ましいなと思います。観終わった後、清々しい気分になること請け合いです。

3本ともタイプの異なった映画ですが、チーム・メンバーの気持ちが一つになっていくところがいい感じで、心が一つになると大きな力になりますね。先生と生徒の心も一つになれば成績が上がる!(←現実は厳しそうやな)

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