アトリエトーク

映画の館『スポポン館』 第14回

平成25年11月25日

館主 平 均(たいら ひとし) <ペンネーム>

これまでいろいろなジャンルの映画を上映して来ましたが、何故か学校を舞台にした映画を上映していないことに気付きました。塾は好きだけど(特に、河村国語作文塾&学びのアトリエ!←何をおべんちゃら言うてんねん)、学校はどうもなあ、という方がいるかもしれませんが、映画の世界は楽しいですよ。

まずは小学校から始めましょう。『スクール・オブ・ロック』(The School Of Rock 2003 アメリカ)。

売れないロック・グループのギタリストが主人公なのですが、その目立ちたがり屋の性格からグループを追い出されてますます金欠に。ルームメイトで代用教師をやっている友達に掛かってきた電話で自分がその友達になりすまし、まんまと伝統ある私立小学校の代用教師として潜り込みます。でも、当然ながら教壇に立って何をやればいいかサッパリ分からず、思いあぐねて自分が得意とするもの=ロックンロールを生徒たちにやらせ始めます。最初はちょっと変わった先生がやって来たと思っていた生徒たちも、だんだんとロックンロール好きになり、そして先生(本当は偽物なんだけど)も好きになって来ます。日頃抑えられていたものから解放されたようで、子供たちの表情が生き生きとして来るのがいいのです。また、一人一人が個性的で実に面白い。主人公も子供たちを好きになっていきます。

でも、ロックをやっているというのは他の先生や親には秘密。お堅い学校でそんなことをやれば即禁止。先生が偽物だと分かれば警察沙汰。ということでハラハラする場面もあります。しかし、なんとかかんとか最後には皆でステージに立つことが出来、感動のクライマックスを迎えます。音楽っていいなあと思わずにはいられません。

と、ここまで読まれると真面目な作品だと思われるかもしれませんが、実はこれ爆笑コメディなんです。でも、感動するのも間違いなく、観た後とてもハッピーな気分になります。

主人公を演じるジャック・ブラックは実際にもロック・ギター・デュオを結成している俳優であり、まさにはまり役。飛んで跳ねて歌ってギターを弾いてそしてしゃべくりまくって、とにかくエネルギッシュ!実際に近くにいると厚かましくて嫌な奴かもしれませんが、彼を見ているだけで元気が出て来ます。落ち込んだ時に観ると、そのガッツ精神で勇気付けられますよ。

脇役では、主人公と180度性格の違うルームメイトがいい味出していて、エピローグにも嬉しくなります。

続いては日本の中学校が舞台の『告白』(2010)。これはコメディではないことは皆さんもご存知ですよね。湊かなえの同名小説の映画化です。

自分の子供を中学生である教え子に殺された先生が復讐をするという危険な物語で、それをちょいとポップな感じで描写しているので重たーくはなっていませんが、子供たちが死に追いやられる展開がなかなか悲惨です。自業自得と言えばそれまでですが。

それにしてもここで描かれる中学生の実態はごく一般的なものなのだろうか、と、おじさんは心配になってしまいました。子供が自責の念から部屋に引きこもって、親が気が狂っていくというエピソードなんて実際ありそうで怖い。やはり、悪いことをしちゃいけません。

次は日本の高校が舞台の『悪の教典』(2012)。生徒たちから慕われていた先生が実はサイコ野郎で、まさに高校を舞台に大殺戮を繰り広げる、って、こりゃ話題が違う方向に行ってしまうので上映中止にしましょう。

でも、よくこの映画を作ったよなあ。今までのイメージをぶち破り、サイコ先生を演じた伊藤英明の勇気には拍手。

上記のように邦画でパッと頭に浮かぶ学園ものは何故か暗い作品が多いのですが、次は趣を変えて皆さんの琴線に触れる映画を上映しましょう。山田洋二監督のその名もズバリ『学校』シリーズです。シリーズといっても作品間にストーリー上の繋がりはありませんので、どの作品からでも観て下さい。人間を温かく見つめる監督の眼差しは一貫しています。また、全作を担当している富田勲の音楽も素晴らしいです。

一作目『学校』(1993)は東京の夜間中学を舞台にした様々な年齢・職業の人たちの群像劇で、今、学校や塾へ普通に通っている皆さんがいかに恵まれた境遇にあるかが分かると思います。中でも特に、田中邦衛演じるおっちゃんのエピソードには泣かされます。

二作目『学校Ⅱ』(1996)は北海道の高等養護学校が舞台となっており、純、いや満男、いや吉岡秀隆が頑張っています。

三作目『学校Ⅲ』(1998)は職業訓練学校が舞台で、苦労を味わって来た不器用な大人の恋が描かれます。小林稔侍と大竹しのぶの組み合わせがいいのですよ。苦労の末、ようやく幸せを掴んだと思ったのに…。最後は涙なくしては観られません。

四作目『十五才-学校Ⅳ』(2000)は番外編的な作品で、中3生が横浜から屋久島を目指すヒッチハイクを通して成長していくロードムービーです。

いろいろな学校を訪問しましたがいかがでしたでしょうか。中学校と高校は行きたくない学校でしたね。あと、大学が抜けていましたので『アニマル・ハウス』(Animal House 1978 アメリカ)などいかがでしょう。題名通り動物みたいなヘンテコな学生たちがどんちゃん騒ぎする破壊的パワーのあるコメディ映画です。これを観たら大学に行きたくなるはず!?

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