アトリエトーク

『塾長のオススメです!』 Vol.31

平成25年11月25日

河村国語作文塾&学びのアトリエ
河村 勝之

『チョコレート工場の秘密』(評論社)
   ロアルド・ダール著 柳瀬尚紀訳

『小公女』(岩波少年文庫)
   フランシス・ホジソン・バーネット著 脇明子訳

『古代中国シリーズ項羽と劉邦編/鴻門の会・四面楚歌』~その時歴史が動いた~No.25
   NHK 取材班編 KTC 中央出版

今回は塾での読書感想文や授業に関係した作品を三冊取り上げます。

一冊目は、今回のアトリエ自由読書大賞の銀賞に選ばれた感想文の作品『チョコレート工場の秘密』です。
かつての大チョコレート王のウィリー・ワンカ氏が、長い間の沈黙を破って工場を再開し、チョコレートの下に5枚の黄金の招待状を入れた所から話が始まります。仲はすごくいいけれど、とても貧しい家族の中で育った主人公のチャーリー。彼を含めた5人のそれぞれ個性的な少年少女と同伴するその父親・母親(チャーリーはおじいちゃんが同伴)が、秘密のチョコレート製造工場の中へ招待され大変なことになっていくお話です。工場でワンカさんの手足となって働くウンパッパ・ルンパッパ人たちが、5人の少年少女が1人ずつ工場の機械に吸い込まれていくと、その子にまつわる大変風刺の効いた歌を歌い出すという所も見ものですが、チョコレートやキャンディなどで出来ているこの工場の中がとてもカラフルで、どこがどうなっているのかも興味津々です。ジョニー・デップ主演の映画『チャーリーとチョコレート工場』のDVD をお正月に借りるDVD の一本にしようかなと思っています。さあ、このチャーリーの運命やいかに・・・。これは読んでのお楽しみです。

二冊目はやはりこれも作文の授業の中で題材にしている『小公女』です。かつて私は少年時の児童向けの読み物としては『十五少年漂流記』が特に好きで、何度も何度も読んで、今でもあらすじは覚えているほどです。ところがこの『小公女』に関してはどんな話だったか全く覚えていなかったので、読み進むたびに感動的な場面に出会い、「目からウロコが落ちる」読書体験でした。主人公セーラ・クルーが、ミンチン女子学院での父親を失ったあとのつらく厳しい日々を、父からの教え「常に人々のために生きるプリンセス(公女)のような女性であれ。」を自分の生き方の根本に据えて、持ち前の想像力と周りの友との交流を支えに、奇跡の結末を迎えます。この伏見教室に移転してからは、図書館がフルに活用できるようになり、特に児童文学への距離すごく近くなったことに喜びと感謝を感じています。大変オススメです。

最後にこれも図書館で授業のために借りた一冊です。以前「その時歴史が動いた」(松平定知アナウンサーの名調子も手伝って)は、大好きなテレビ番組の一つでしたが、今回はそのいわゆる「項羽と劉邦」編です。かなり昔になりますが、司馬遼太郎の『項羽と劉邦』を読んだ時に感じたのと同様、どうも項羽の方に魅力を感じてしまうのは、どうしてなのでしょう。劉邦の方がリーダーとしてたしかに有能だとは思うのですが、どうもそのしたたかさが目についてしまい、悲劇のヒーローである項羽の方に肩入れしてしまいます。ただ、劉邦の下には名リーダー(韓信他)がたくさん集まり、彼らを生かしきった劉邦に軍配が上がるのは納得せざるを得ません。歴史上の複雑な人間ドラマを大変わかりやすく解説してくれた一冊でした。

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