アトリエトーク

『塾長のオススメです!』 Vol.17

平成24年9月8日

河村国語作文塾&学びのアトリエ
河村 勝之

『考えの整頓』
佐藤雅彦 著(暮しの手帖社)

『「自分の木」の下で』
大江健三郎 著(朝日文庫)

『震災と言葉』
佐伯一麦(岩波ブックレット)

今日のトップバッターは朝のNHKの子ども番組の中の「ピタゴラスイッチ」の企画・監修を勤め、『経済ってそういうことだったのか会議』の名対談でも有名な佐藤雅彦氏の本をオススメします。フランスの有名な哲学者アランが、現代日本に生きていたら、こんな文章を書くのかな、と思うほどの見事な、わかりやすく、発見的な文章でした。最初の文章「「たくらみ」の共存」とはまさしく言い得て妙でさり気なく導いてくれる、この楽しさは何だろう、と驚きながら、毎日一編ずつゆっくりと味わいながら読み進めています。

二番目のオススメは、かのノーベル文学賞受賞作家大江健三郎氏のエッセイ集第1作目の『「自分の木」の下で』です。思い出した時に、思い出した箇所が読み返したくなる工夫集です。私は彼の長男の大江光さんの音楽が大好きで、結婚式の披露宴の時もかけてもらったりしたのですが、その音楽の雰囲気に非常にマッチしている父親である大江氏の自己教育論が、とてもゆったりとしたリズムで迫って来ます。特に彼の「人生の習慣」という考え方にとても共感を覚えます。ある程度の年月を真面目にひたむきに生きて来たからこそ、継続していける「人生の習慣」。興味のある方には是非お読みいただきたく存じます。

三冊目は、まだ読みはじめたばかりで、おススメできるものかどうかは、まだ正直言うと定かではないのですが、気になっている作家の、気になっている書物の一つだったので、すぐに購入して読みはじめています。作家の人たちも昨年の3・11以降、色々なメッセージを色んな所で発しています。私としても、札幌の地が直接震災の被害を受けた訳ではないとしても、何か読み続け、考え続ける作業だけでもしていきたいと思い、今月はこの手を取り上げました。

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