アトリエトーク

『塾長のオススメです!』 Vol.16

平成24年8月10日

河村国語作文塾&学びのアトリエ
河村 勝之

宮崎駿 著
『折り返し点 1997~2008』(岩波書店)

稲泉連 著
『復興の書店』(小学館)

中村計 著
『甲子園が割れた日 -松井秀喜5連続敬遠の真実-』
『佐賀北の夏 -甲子園史上最大の逆転劇-』
(共に新潮文庫で、前者は.新潮文庫の100冊- に入っています。)

暑い夏、偶然にもオススメの3冊はすべてノンフィクションとなりました。

一冊目、いつかスタジオ・ジブリ宮崎駿監督の『もののけ姫』についてのコメントをきちんと読みたいと思っていたその願いがついに今回かないました。

私は「あの直球勝負」とも言うべき『もののけ姫』が誕生したプロセスや宮崎監督の思いにこの本で触れることが出来て、自分の直感が間違っていなかった事を確認しました。子どもたちにむけてスクリーン上から送り出すこの映画のメッセージのストレートさは、いかに彼の中で子どもたちへの信頼が厚いかをもの語っています。そこまでの若い人たちへの「思い」が自分の中にあるか、と自問自答を繰り返した一冊でした。宮崎ファンの人には必読の一冊でしょう。

二冊目は文字通り『復興の書店』についてのルポルタージュです。震災直後から、生活必需品と共に多くの人が本を読むことを切望した事実、胸が熱くなりました。いかに多くの人の手によって本を望む人の所に届けられるのか、きちんと勉強してこなかった事だけに、まさに「目からウロコ」のノンフィクションでした。

あの日本中を熱くした「体操」「水泳」「卓球」「サッカー」「陸上」「バレー」等々のロンドンオリンピックも終わりに近づき、私の大好きな高校野球が始まりました。本当に大好きになったのは駒大苫小牧高の全国初優勝の時の試合を夜中に録画で見た時からですが・・・。

その甲子園での大ニュースに数えられる二つの出来事を丹念に追った、著者の執念の二冊をオススメします。特に前者の追記の中で、「夢を実現するために小さなこどもに言葉をかけるとしたら」という著者の質問に対して、ワールドシリーズでMVPを獲った直後の、松井秀喜の口から出た

「・・・逃げないことじゃないですか。好きだと思えることからは」という言葉は、今の彼の置かれている状況を考えると、ファンの一人として著者ならずともジーンと胸に迫るものがあります。高校野球とそれをめぐるメディアや球児のその後に関心のある方には、もう一冊とともにオススメです。夢と共に生きる事の難しさを感じさせてくれる二冊です。

コラム一覧へ戻る

▲ページ上部へ戻る