平成23年12月16日
北杜夫・辻邦生 著 『若き日の友情-辻邦生・北杜夫 往復書簡』(新潮社)
小澤征爾・村上春樹 著 『小澤征爾さんと、音楽について話をする』(新潮社)
森健 著 『「つなみ」の子どもたち-作文に書かれなかった物語』(文藝春秋)
今年最後の3冊のオススメについて述べさせて頂きます。
まず一冊目の『若き日の友情-辻邦生・北杜夫往復書簡』は、先日亡くなった『どくとるマンボウ航海記』・『楡家の人々』等で有名な北杜夫と、親友の作家辻邦生との往復書簡集です。二人の赤裸々な青春時代を葉書や手紙で読むことが出来る貴重な資料です。医師であり、偉大な文学者でもあった斎藤茂吉(日本を代表する歌人の一人)を父にもつ北杜夫の青春時代の感情の起伏が実によくわかります。親友の辻邦生の丹精な文章も実に見事。それぞれが医学と文学を志した、若き魂のまさに「一期一会」と言うべき出会いが、二人の人生を支え通したといっても過言ではないようです。
二冊目は村上春樹の音楽通ぶりに驚愕させられる対談集です。二人の見事に息の合った対話が、私のようなクラシックの教養のほとんど無い人間にも深くしみ込んできて、演奏の現場を彷彿とさせてくれる一冊です。村上春樹がこれほどまでにクラシックの世界に精通していたとは、この本を手にするまで全くといっていいほど知りませんでした、まさに「やれやれ」です。小澤征爾氏のご快復を心よりお祈り申し上げます。
今年最後の一冊は、読み通すのが実につらい、しかし子どものつよさと家族の絆のありがたさを深く考えさせてくれる一冊です。私も日々塾生や保護者の方々、家族や友人に励まされて生きているので、ここに登場される人たちの気持ちに想いを馳せました。亡くなられた実に多くの方々の命を無駄にしない日々を、と切実に思っています。
今年最後までつたないコラムをお読みいただき、ありがとうございました。来年度からも頑張りますので、よろしくお願い致します。
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