アトリエトーク

『塾長のオススメです!』 Vol.2

平成23年6月17日

進学教室 札幌フォレスト
河村 勝之

児玉清著 『負けるのは美しく』 (集英社文庫)

マイケル・サンデル他編
『ハーバード白熱教室講義録(上)+東大特別講義』
(早川書房)

ピーター・F・ドラッガー著『ドラッガーの講義1991~2003』 (アチーブメント出版)
(マネジメント・経済・未来について)

まずはBSプレミアム『週刊ブックレビュー』の名司会者であられた俳優児玉清さんの死をつつしんでお悔やみ申し上げます。老年に入ってからの児玉さんのいぶし銀のような名演技の数々も記憶に新しいですが、私にとっては何と言っても『週刊ブックレビュー』の児玉さんの言葉・笑顔・物腰等すべてが宝物です。彼のもう一つの著書『寝ても覚めても本の虫』の中にも出てきますが、やはり若い時は、「わが青春の岩波文庫」の一つ星の読破から始めた、古き良き読書青年だったことがわかります。

上にあげた『負けるのは美しく』には、学習院大学の演劇活動の時代から東宝のニューフェースとして入社しながら大部屋生活(下積み)も長く、そうした読書だけではない一つ一つの貴重な経験が、快活な文章で綴られていてとても楽しい本です。役者としてのこうした長い修行経験が、あの優しさと気配りと時に見せる鋭さ・厳しさのミックスされた絶妙な司会ぶりにつながっていったのだと思います。思えばこの16年間、フォレストの歩みと共に、頑張って来られた児玉さんに、読書の面白さ・喜び・奥深さを本当に上手に教えて頂けたこと、いくら感謝しても感謝しつくせません。児玉清さん、本当にありがとうございました。

さて、前回の続きとして、マイケル・サンデルの「講義録」に突入しました。こんな本質的な哲学の議論をこんなに興味深く読んだり見たりできる、今の学生さんは本当に幸せだと思います。でも、中味は決してやさしいものではありません。西洋哲学への良い入門書と考えていただいていいのでは。DVDから先に入った方がとっつきやすいという方は、そちらからどうぞ。

最後に、この本も前回に続き、P・F・ドラッガー著『講義録1991~2003』を。世に言うところの「マネジメント」の印象をくつがえし、ヨーロッパ生まれの大知識人らしく大変奥深い話の進め方に、とても興味をそそられます。少しずつドラッガーの著作の森に分け入っていこうと思います。

「黎明記」の高橋君をまねて、ドラッガーのこの本のとびらの言葉を最後にご紹介して、今回はペンを置きます。
"知識は絶えず磨かれ鍛えられ、そして育まれなければならない。怠れば衰退あるのみ。"

-P・F・ドラッガー-

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