平成20年12月15日
社会科を担当している事務局の中村です。今回は三国志の世界について少し考えてみようと思います。
今年、「レッドクリフ」という映画が公開され、ご覧になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。この映画は魏・呉・蜀が中国の覇権をめぐって争った三国時代に行われた赤壁の戦いを題材とした映画です。赤壁の戦いとは、曹操率いる魏が孫権の呉に対して降伏勧告を出します。それに対抗して呉は劉備率いる蜀と連合して、魏の大軍を打ち破るという三国時代で三本の指に入る有名な戦いです。
さて、この戦いでは様々なお話が出てきます。例えば、「草船借箭」と言うお話があります。赤壁の戦いを前にして、連合している蜀の軍師諸葛亮にライバル意識を燃やし、呉の将来のためにもなんとかして始末しようと思った周瑜が、十日のうちに十万本の矢を造れという、かなり無理な注文を諸葛亮にだします。しかし、周瑜はひそかに工房に手をまわして、十万本の矢が造れないようにします。結果として、命令違反を理由に諸葛亮を処刑するという魂胆です。ところが諸葛亮は、十日という期限をさらに短く三日で出来ると言い、誓紙まで出してしまいます。してやったりとほくそ笑む周瑜。ところが諸葛亮は落ち着いたもので、ただ草船二十艘を用意させのんびりしています。そして最後の三日目、諸葛亮は濃霧を利用して長江に漕ぎ出し、呉の襲来と錯覚した魏軍から放たれた矢を草船で受け、なんと十万本の矢をせしめてしまったと言う話です。
しかしこの話、「三国志演義」という14世紀後半に書かれた小説での出来事であって、三国時代のすぐ後に書かれた正史である「三国志」には、次のように書かれています。それは呉軍が船に乗って魏軍の偵察に行った時、魏軍の矢が船につき刺さり、船が一方だけ重くなってひっくり返りそうになった。そこでもう片方にも矢をうけ、船を安定させてから自軍に引き上げたというものです。
現在、多くの人たちに知られている三国志の世界は、「三国志演義」の内容であります。物語をより面白くするための脚色が随所でみられ、正史の「三国志」とはかなり違った内容になっております。「三国志演義」は非常にすばらしい文学作品ですが、歴史そのものに興味をお持ちの方はぜひ一度、正史の「三国志」をお読みになることをお薦め致します。
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