平成20年10月15日
今回は中学校で習う負の数についてお話しようと思います。その中でも特に『負の数と負の数をかけると正の数になる』ということについて考えてみましょう。この事実について皆さんは理由を説明できるでしょうか?とりあえず学校でそう習ったからと答える人も多いかもしれません。また、例えば並べて書くと
(-1) × 3 = -3
(-1) × 2 = -2
(-1) × 1 = -1
(-1) × 0 = 0
のように、かける数が1 だけ小さくなると答えは1 大きくなるから
(-1) × (-1) = 1 …①
と習うこともあります。もちろんこのような感覚は大事ですが、これだと「理由」というよりも、そうなるだろうという「予想」の感じです。そこで、ちょっとパズル的な方法で?① 式が正しいことを説明してみましょう。
(証明)
1 + (-1) = 0 の両辺に-1 をかけると
{1 + (-1)} × (-1) = 0 × (-1)= 0
となります。左辺のかっこを展開すると
1 × (-1) + (-1) × (-1) = 0
-1 + (-1) × (-1) = 0
よって,両辺に1 を加えて
(-1) × (-1) = 1
が成り立ちます。
さて、これを見た感じはどうでしょうか?何だかわかったようなわからないような感じかもしれません。少し表現を簡単にしていますが、実はこれが大学の数学科で習う(-1) × (-1) = 1の『証明』です。
ところで、この証明の中で
0 × (-1) = 0 …②
という式を使っていますが、これは何故成り立つのでしょうか?こちらについても折角の機会なので考えてみましょう。多い答えとして「0っていうのは0 個みたいに何もないことを表すから、0 倍したらどんな数も0 になる」というものがありますが、これは正しいかと言われると微妙です。0 というのは本来は何かの基準を表す量という意味があり、いつも「何も無い」ということではありません。例えば「今日の気温は0 ℃」という場合には気温が「無い」のではないですね。世界で基準となる温度が一つ決められていて、それを0 ℃と呼び,それより高ければ正の数で、低ければ-3 ℃ のように負の数で表しているのです。
では、②の証明をしてみましょう。
(証明)
0 + 0 = 0 の両辺に-1 をかけると
(0 + 0) × (-1) = 0 × (-1)
となります。左辺のかっこを展開すると
0 × (-1) + 0 × (-1) = 0 × (-1)
ここで、両辺から0 × (-1) を引いて
0 × (-1) = 0
が成り立ちます。
何だか普段当たり前だと思っていることを証明すると、混乱してくるかもしれません。ただ、少々乱暴な意見ですが、まずは練習を積んで実際に計算できることが重要です。表題に書いた(負の数)×(負の数)=(正の数)となる「本当の理由」は実は難しい問いで、大学まで習いませんので、、まだわからなくても気にすることはありません。(むしろこれを疑問に思ったり、問題意識をもった人はセンスがあるかもしれません。)もし興味があれば高校の勉強が終わってから学習してみてください。
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